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こんにちは!
BIG4勤務歴15年の会社員、こじろうです。
税理士業界では、ともすれば「5科目合格組 vs 院卒免除組」という対立が起こりがち(ネット上だけ?)ですが、
院卒免除の人はBIG4税理士法人に入社できるのか?
という点は、あなたが院卒免除で就職・転職を考える場合には気になるところではないでしょうか。
結論から言ってしまうと
BIG4税理士法人には院卒免除の人はけっこういます。
もちろん法人や部署によって事情は異なりますが、院卒免除だから採用しない、ということはないですね。
ただし、それでも考えるべきポイントはいくつかありますので、この記事ではBIG4税理士法人における院卒免除の採用事情などを、私の実体験から紹介していきたいと思います。
※この記事は、私個人の経験と観測による個人的見解ですので、その点にご留意ください。心配な場合には、転職エージェントへの相談が確実です。
この記事の目次
BIG4税理士法人に院卒免除はいないのか?
実は院卒免除はけっこういる
先ほど「院卒免除の人はけっこういる」と書きましたが、私の同期は約半分が院卒免除でした(私は7年かけて5科目合格)。
いや、半分以上だったかな?試験組の方が少なかったような気も…。
また同期だけでなく、先輩にも後輩にも院卒免除は普通にいましたし、普通に仕事して普通に昇進していました。
ですので、私の知る限りでは院卒免除で入社というのは割と普通のことですね。
ただ、繰り返しになりますが、法人や部署によって方針なども違いますから、その点は心に留めておいてください。
結局、入社して数年もしたら同じになる
私の入社した頃は、院卒で免除を受ける場合には(法律系の場合には)税法免除で簿記財表だけ受験、という制度になっていました。
ですので、院卒で入社した同期は法人税を勉強しておらず、最初は苦労していましたね。
確かに、試験で主要条文や公式が頭に刻み込まれていた試験組は、スッと法人税の仕事に取りかかれていたのは事実です。
でもそれも最初のうちだけ。
試験で勉強したことは実務では入口レベルであって、実務でバッチリ役立つかというとそうでもありません。
実務ではテキストでは習わないことが山ほど出てきます。
そんなこんなで試験組も実務で苦労しますし、3年ぐらいしたら知識量なんて差がなくなってくるんですね。
結局は実務で得た知識がモノを言いますから、院卒免除だから税務の仕事ができない、ということはありません。
特に今は、院卒でも法人税か所得税のどちらかに合格する必要がありますから、その意味でも差がなくなってきています。
税理士試験に合格済みというのは大きい
もう1つ言えることは、院卒免除の多くは「試験が終わっている」ということが大きなポイントとなっている点です。
BIG4税理士法人では7月~8月の税理士試験直前期に試験休みを取る人が多いですが、事務所としては試験に早く合格して実務に集中してほしいと考えています(当たり前の話ですが)。
その点、税法の一部が免除とはいえ試験が終了している人は、採用で有利になるわけですね。
院卒免除の人がBIG4税理士法人に入社するためのポイント
税理士試験には合格しておく
さて、以上のように「院卒でも普通に入社してた」と書きましたが、それでも
「院卒だからダメって言われたらどうしよう」
という不安は残るかもしれませんね。
そこで、私の観測した範囲で「院卒免除の人がBIG4税理士法人に入社するポイント」を挙げてみたいと思います。
まず最初は「税理士試験には合格しておく」こと。
先ほども書きましたが、試験が終わっているというのは採用側からすると大きなポイントです。
それは、多くの場合には税法一部免除を上回るアピールポイントになるわけですね。
院卒の人であれば、条件が合えば大学3年生から修了まで4回試験を受けられますので、簿記財表+法人税で合格をしておきたいところです。
合格できなかった場合でも、簿記財表は合格し「あとは法人税だけです」というのが最低ラインでしょう。
税法は法人税を選択
今の院卒免除の制度は法人税または所得税の合格を求められていると理解していますが、この選択は法人税を選択して下さい。
BIG4税理士法人の実務では、圧倒的に法人税が中心です。
個人(企業オーナーや富裕層)向けの所得税や資産税の部署に行くのでなければ、所得税を勉強する意味はないですね。
この辺りは、あなたの進みたい道と相談して決めてもらえればと思います。
ちなみに私は、所得税は外国人駐在員(エクスパット)の所得税しか経験したことはなく、相続は勉強したけど実務で使ったことはありません(実家の相続はやりましたが)。
英語力アピールも効果的
上で書いた税理士試験や選択科目に加えて、力を入れるとプラスかなと思うのは「英語力」です。
実務経験はあるけど英語ダメ、という人に英語を習得させるより、実務経験はないけど英語OKな人に実務を教える方が、よほど楽ですからね。
これは話す英語でなくても読み書きだけでも充分アピールできます。
英語力をアピールする目安としては、TOEICで言えば最低700点台、できれば800点以上が望ましいところですね。
逆に600点台で履歴書に書くと、「600点台しかないの?」などと突っ込まれますので、ご注意を。
余裕があれば米国公認会計士(USCAP)も取得
これは私がUSCPAでもあるから、というわけではありませんが、余裕があればUSCPAへの挑戦もおすすめします(もちろん税理士合格後)。
その理由は以下の3つ。
- 税理士試験よりも複雑な会計を学べる
- 監査について学ぶことができる
- 実務で使える英語力をアピールできる
このうち、監査と英語力はUSCPAならではの内容ですね。
税理士法人で働いていても監査法人のチームと働くこともあります。
このとき、監査とは何かを知っておかないと相手と話が合わないですし、最終的に何を求められているのかを捉え損ねてしまう、という惨事が起こり得ます(実際にあった話)。
正直言って、私もUSCPAの勉強をする前は「監査の人ってなにやるんだ?」と具体的なイメージが沸かなかったですね。
しかし合格した後は同じ視点で物が見られるようになり、仕事もスムーズになりました。
また、英語については言うまでもないと思いますが、USCPAは試験本番だけでなく勉強でも
死ぬほど英語を読んで死ぬほど英語を書く
ことが求められる試験です。
ですので、学校で習っただけの英語を実戦的に使う練習がイヤと言うほど経験でき(笑)、実務で使える英語力をつけるショートカットになりますよ(実体験)。
まとめ:院卒免除でもBIG4税理士法人への入社は問題ない
以上のように、BIG4税理士法人での院卒採用について書いてきましたが、簡単にまとめると以下のようになります。
まとめ
- BIG4税理士法人では院卒免除の人は普通にいる(法人や部署によって違うので要注意)
- 院卒の人がBIG4税理士法人に入社するには、以下の点をアピールすると効果的
- 税理士試験は終了している、または簿記財表は合格済み
- 選択科目は法人税を選ぶ
- 英語力をアピール(TOEIC 700以上、できれば800以上)
- 余裕があれば米国公認会計士(USCPA)の勉強
繰り返しになりますが、法人税を勉強済みであれば、BIG4税理士法人での実務でそれほど差はつきません。
院卒免除でも普通に仕事して昇進しています。
その意味では普通の試験組と同じと考えていいでしょうし、無意味に心配する必要はないですね。
ただし、これまた繰り返しですが、これは私の個人的な経験と観測に基づいた情報です。
ですので、応募に際しては法人に聞いたり人材エージェントを使うなどして情報を入手して準備をするほうが良いでしょう。
備えあれば憂いなし、ですので。