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こんにちは!
BIG4勤務歴15年の会社員、こじろうです。
日本でも税理士や公認会計士と並んで人気の資格USCPA(米国公認会計士)。
かく言う私もライセンス登録済みのUSCPAですが、あなたも持っている、あるいは興味があるのかもしれませんね。
そのような人気を反映し、BIG4関連の話題でも
「USCPAでBIG4税理士法人へ入社できるか?」
という話が出たりします。
この点についての私の考えを言えば
USCPAだけでは難しいかも
というのが結論です。
…いきなりショッキングな話だったかもしれませんね。
私も、あなたと同じ立場でこんなことを言われたら「なんで?」と思うはずです。
そこでこの記事では、「なぜ難しいのか?」という点と「どうすればいいのか?」という点について説明していきたいと思います。
※この記事は、個人的な経験と観測によるものです。最新の事情などについては、専門の転職エージェントなどに相談することが最も確実となります。
この記事の目次
USCPAだけではBIG4税理士法人への入社が難しい理由
日本の税理士法人では日本の税法が仕事のベース
USCPAでBIG4税理士法人への入社が難しい理由は、日本では日本の税法が仕事のベースとなるから。
私も今まで複数の国で仕事をした経験(しかも今の仕事では複数の国の面倒みてます…)から
税務というのは法律であり、それぞれの国に固有である
ということを強く感じています。
ですので、日本の税理士法人で仕事をするためには、日本の税法を知らないと難しい話ですよね。
そうすると、税理士や科目合格者と比べて不利になってしまうわけです。
米国の税法を使う部署もなくはないが…
法人によっては「US Tax」を中心にしている部署もありますが、これは少し注意が必要です。
というのは、こういった部署の場合、米国の「個人所得税」を扱う部署の場合が多いんですね。
アメリカという国は非常に妙ちくりんな税法を持っていまして、
「アメリカ人は世界中のどこにいてもアメリカの税金払え」
という国なんですね(日本の場合には国外在住なら課税なし)。
ですので、日本に来ているアメリカ人(企業駐在員)は、国外にいるのにアメリカの申告書を提出して納税する必要があるわけです。
そしてUS Taxの部署というのは、多くの場合はこのような外国人駐在員(expats)の米国個人所得税の申告をメインとする部署となっています。
なおこの場合クライアントは、こういった駐在員の雇用者である企業です。
この辺りは個人のキャリアプランと相談して決めることだと思いますが、USCPAとして会計や監査を学んでも役に立つ部分はありませんよね。
ですので、もしあなたが法人をメインとした税務に携わりたいのであれば、このような部署で働くことはおすすめしません。
ただし、あくまでもこれは私の経験と観測の範囲の話ですので、実際には応募の際に問い合わせて確認をしてみて下さい。
USCPAに適した職場とは?
USCPAなら監査法人を目指す方がいいかも
上で書いたことの繰り返しになりますが、税理士法人では税務、特に「日本の税務」が中心となりますので、USCPA一本では採用は難しくなります。
ですので、特に「税務がやりたい!」という志向がなければ、監査法人の方が採用の可能性は高いのではないか、と思います。
監査というのは税務と違い、国に関わらず共通している部分が多いですから、USCPAとしての業務も色々とあるはずです。
私が今いる国でも、日本の監査法人から一般企業への出向の形で来ていたUSCPAの人に会ったことがあります。
その人は、その出向先企業の内部監査を行っていましたが、帰国後に転職してアメリカ系の製薬会社に就職した、と聞きました。
BIG4税理士法人の移転価格の部署に入る
また、国が違っても共通、という面では移転価格もいいのではないかと思います。
移転価格の部署でも実は税理士の人は多いですが、税理士ではない人も採用される傾向にあります。
また、移転価格では英語力が必要となる場合が一般の税務より多く、英語も堪能な人が多いですね(例外もあります)。
ですので、USCPAに合格していることで実務レベルの英語力がある、というアピールが、一般の税務よりも効果的に働きます。
その他、金融機関や一般企業への転職
その他には、金融機関や一般企業、特に経理や財務といった職種への転職が考えられますね。
ただし、新卒の場合は別としても、転職の場合には何らかの実務経験(関連業務含む)が求められる可能性があります。
この辺りは私も経験がない(私は国際税務の専門家として一般企業へ転職)ので、転職マーケットに詳しい専門家への確認してみて下さい。
まとめ:USCPAのBIG4税理士法人への就職は情報収集がカギ
繰り返しになりますが、USCPAの就職・転職については、日本の資格ではないということからその価値の評価が難しい面もあります。
明確に「USCPA募集」としている場合以外は、採用する側の判断が大きく影響する、ということですね。
そのような場合には、実際にどのような転職案件があるか、実際の採用事情はどうなっているのか、という情報を集めることがカギとなります。
実際の採用事情などは、人材マーケットに通じたエージェントに聞くのが一番確実ですし、表に出ない情報や助言を得ることもできます。
自分で探しても採用情報が出てこないような場合には、人材エージェントを使って賢く情報武装して転職に臨んでみてはどうでしょうか。